Distance‐マイナス5cm‐


あたしは何回、心の中で誠に謝っていたんだろう。



「俺といて、素直になんてなれなかったでしょ?」



いつも、罪悪感を感じていた。



「付き合い出した頃と、のんは変わったけど、一番変えたいと思っていた事だけは、変わらなかった……」



自分でも、気付いていた。

ただ自分を騙していた。


騙し続ける事を、あたしは胸に誓ったから。



でも、それも見破られてたんだね……。




「初めから、俺を一番に想う努力ばかりしてただろ。霧島を忘れる努力ばかりしてただろ。ずっと、今も」



誠はあたしに聞いたね。



“のんは変わった?”



あたしは、変われなかった……。



「のんは、俺といたら幸せになれない。俺は、のんに幸せになってもらいたい」




ねぇ、どーしてあたしはこうなのかな。


どーして誠を、一番に想えないのかな。



誰よりも優しくて、いつもあたしの事を一番に考えてくれて……。



なのにあたしはどーして



どーして、叶チャンしか愛せないのかな。
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