ジェフティ 約束
 目をこすって入り口から差し込んできた朝日のまぶしさに顔をしかめるラルフの頭が、力いっぱい張り倒される。干草の上に倒れこんで、ラルフは頭を抱えた。
「いってぇー」
 涙目になりながら頭を抑えてふらふらと立ち上がると、目の前に鬼のように顔を引きつらせたシェシルが立ちふさがっていた。いつものように、怒ったときに見せる炎の揺らめきのように怪しく光る瞳が、朝日の逆光の中により美しく輝いていた。
「あ、あれ……、シェシル……。シェシルじゃないか!よかった、無事だったんだね……、って、インサ?どうしたんだよ」
 シェシルの傍らで彼女に首根っこを掴まれたまま、小さくねずみのように縮こまって地面にしゃがみこむインサが目に飛び込んできた。もう片方の手には見慣れた荷物とラルフの剣が握られている。
「……あれ?」
 長剣は昨日眠る前に、干草の中から取り出して傍らに置いていたのに。荷物だってすぐ傍に置いたはずだった。ラルフは荷物と長剣が置いてあった形跡のある場所を振り返る。
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