ジェフティ 約束
 ラルフは自分のマントを脱ぐと、少女の体を包んで抱き起こした。少女が腕の中で微かに動いたのを感じて、ラルフはほっと安堵の息を漏らした。少なからず少女は生きている。


「……おか……あさんが……」
「え?」
 ラルフは少女の口元に耳を近づけた。か細い消え入りそうな声がラルフの耳に届く。
「……おかあさんが……、川岸に……」
 ラルフははっとして顔を上げると、少女をそっと下ろして、川岸へと続く斜面に近づき覗き込んだ。
 ラルフが駆け寄ったシナイ川は、この時期、山の雪解け水が流れ出し、水位が増してくるのだ。山肌から染み出した蒼く透き通った水が、ラルフの足元の斜面を削るように、空気を含み青白い濁流となって轟々と音を立て流れていた。
 ラルフは傾いて伸びている木の幹に手をかけ、斜面を少し下りさらに周囲を見渡して目を凝らし探した。
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