ジェフティ 約束
「な!なな、なんて格好してるんだよ!」
 なんとシェシルは裸のまま、戸口のところにもたれかかって立っていたのだ。背後では、蛇口から溢れ出た湯が、浴槽へと流れ出ている。その浴槽からもうもうと上がる湯気が風呂場全体を白く曇らせていたが、それにしたって!
 この辺りは、ベチカ山脈の恩恵という湯泉が何箇所も噴出しているのだ。それを引いているため、湯は豊富に使うことが出来る。という説明は今はこの際どうでもよい。
 シェシルは慌てふためくラルフを怪訝な表情で見つめる有様だ。
「何やってるんだ?早くそれをあけて、石鹸をこっちに渡せ」
 昨日から髪の毛がごわごわでかなわんと、シェシルは平気な顔で髪を掻き揚げながらぼやく。
「う、うん…」
 なおもどぎまぎしながら、ラルフは包みの中から石鹸を探り出してシェシルに手渡した。
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