ジェフティ 約束
「いまでも、父の最後の姿や、私をかばって殺された母の夢を見る。
自分の背から流れ出るおびただしい血に怯えながら、燃え盛る炎の中で、父が残した、最後の作品になった長剣二本を抱えて、小さくうずくまっていた自分を思い出すんだ。
大きな手が私を抱え上げて、村から連れ去ったその時の恐怖は、今でも忘れない。
背中の傷がうずくのは、その事を忘れさせないためだと、私は思っている」
ラルフはシェシルの震えている手を、できるだけ見ないように背中をこすっていた。石鹸の泡は優しくふわふわと膨らんで、その内へと優しく傷跡を隠してしまう。そうしないと、シェシルの心の疼きがいつまでも治まらないのだと知っているかのように。
「私をルシオンテから連れ出したノベリアの兵士はね、自分の生まれ故郷の村に私を預けたんだ。兵士は私をそこで介抱すると、すぐにカリシアへと引き戻されてしまった。
私を連れ帰ったことで、その兵士は厳しい処罰を受け、短い期間だが投獄されていたと聞いた。なのに、その兵士は元来お人好しだった様で、いつでもなんでもない顔をして故郷に帰ってくると、私を笑顔で抱きしめてくれたんだ」
自分の背から流れ出るおびただしい血に怯えながら、燃え盛る炎の中で、父が残した、最後の作品になった長剣二本を抱えて、小さくうずくまっていた自分を思い出すんだ。
大きな手が私を抱え上げて、村から連れ去ったその時の恐怖は、今でも忘れない。
背中の傷がうずくのは、その事を忘れさせないためだと、私は思っている」
ラルフはシェシルの震えている手を、できるだけ見ないように背中をこすっていた。石鹸の泡は優しくふわふわと膨らんで、その内へと優しく傷跡を隠してしまう。そうしないと、シェシルの心の疼きがいつまでも治まらないのだと知っているかのように。
「私をルシオンテから連れ出したノベリアの兵士はね、自分の生まれ故郷の村に私を預けたんだ。兵士は私をそこで介抱すると、すぐにカリシアへと引き戻されてしまった。
私を連れ帰ったことで、その兵士は厳しい処罰を受け、短い期間だが投獄されていたと聞いた。なのに、その兵士は元来お人好しだった様で、いつでもなんでもない顔をして故郷に帰ってくると、私を笑顔で抱きしめてくれたんだ」