ジェフティ 約束
「どうなさいますか?アスベリア様」
 エドの表情も同様に曇っていた。背後に集まっている部下たちも、一斉にアスベリアを見つめている。
「仕方ないだろう、開門しろ!」
 二日後までは絶対に開かないはずの門が、ゆっくりと開いていくのを、アスベリアは剣を腰に下げながら黙って見つめていたが、
 ――ブタ野郎が!
 と、心の中で激しくののしった。
 その門の外で待ち構えているオルバーの使者が誰なのか、アスベリアには分かったのだ。そして、それが自分の事を信用されておらず、こんな真夜中にもかかわらず無理やり門を開けさせるような奴を、わざわざ寄越したことも。よりにもよって、あんな下種野郎を!

「開門!」
 外からまた男の声が飛んでくる。
 ――もう開門してるんだよ、馬鹿!
と、言ってやりたい気持ちをぐっと抑えて、この怒りをどうにか静めようと両の握りこぶしを自分の太ももに打ちつけた。
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