ジェフティ 約束
「どうした、知り合いなのか?」
 アスベリアは、見上げる少女の顔を覗き込んだ。この村で暮らしていた頃の記憶を辿る。
 ――アス。
 声が、記憶のどこかに残骸を残していた。そう自分を呼ぶ小さな女の子の面影が蘇る。
「……ルーヤ」
 その名を口にすると、少女の目が喜びに輝いた。
「やっぱり、アスなのね!……でも、どうしてこんなところに」
 喜びもつかの間、ルーヤの表情には困惑が広がる。農機具小屋に干草まみれで隠れていたアスベリアの姿に、当惑したようだ。それと、先ほど自分を後ろから羽交い絞めにしたシラーグの存在が気になるようだった。ルーヤはシラーグを振り返ると、一歩遠ざかるように後ずさる。
「何してるの?」
 ルーヤの困惑は最もだ。アスベリアは正直に話した。
「コドリスに追われてるんだ」
 その言葉にルーヤは表情を硬くし、ちらりと小屋の戸のほうを見る。
「なぜ、この村にコドリス軍がいるんだ」
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