ジェフティ 約束
「……ほんの少しだけ」
 そう言うと、ルーヤは腰から下げていた皮袋に手をいれ、中からいくつかの果物を取り出した。
「いいのか?ユマやルアに食べさせるつもりだったんだろう?」
 ルーヤは首を横に振って、にっこりと微笑んだ。
「アスがいなくなって、あれから何年経ったと思ってるの?私も今年で二十一だし、ユマもルアも十七だよ。あの頃とはもう違うんだから」
「そうか、そうだよな」
 アスベリアに向けられた笑顔は、昔から変わっていない。ルーヤは早くに両親を亡くし、双子の弟二人の面倒を一人で見てきた。一人で畑を耕し、大人に混じって大人以上に働き、その日どうにか手に入れた微々たる食べ物を姉弟仲良く分け合っていた。弟思いのルーヤ。自分の食べるものよりもまずは弟たちがお腹いっぱい食べられるようにと、頑張って働いていた姿を思い出すことができた。
< 432 / 529 >

この作品をシェア

pagetop