ジェフティ 約束
 ――オレには使命がある。
 ノリスがアスベリアと剣を交えてまで時間稼ぎをし、ここから逃がしたかったものを奪いに行く。

 シモーヌが治療院の戸口に閂を下ろしながら、ラルフを振り返った。その目には、涙が浮かんでいる。
「ジェイを連れて、ここから逃げるんだよ。今はノリスが時間を稼いでいる。しかし、長くはもたんだろう」
 ――あの子は昔から狩りに出るのも嫌がるほど、命を傷つけることが嫌いな優しい子だったからね。
 ラルフは狼狽を隠せない瞳で、シモーヌを見つめながらつぶやいた。
「それじゃあ、婆様は……」
「お前は優しい子だよ。ダルクやノリスによく似て……とても優しい子だ」
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