もう恋なんてしない
思ったよりも早く着いてしまった…。

おばさんの実家だという そのお宅は、山奥にあった。
海沿い…確かそんな風に言っていたのにな。
もう少し行けば、海に出るんだろうか?

「ごめん下さい」

「は――い」

現れたのは、小柄でとても可愛らしいおばあちゃん。
史也と瑠璃ちゃんの…おばあちゃん。

玄関先で簡単な自己紹介をし、今から来るであろう瑠璃ちゃんに会わせて欲しいと申し出る。
ニカッっと笑うと、快く僕を受け入れてくれた。

「暑い中、大変でしたねー。
瑠璃が来るまで、ゆっくり休んでなさいな」

よく冷えた麦茶を出され、一気に飲み干す。
ほんの少し、落ち着いた気がした。


相変わらず携帯は繋がらない。

それは、誰とも繋がっていない証拠。

家元とも連絡を取っていない。
そう考えてもいい…よな?

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