ロ包 ロ孝 2
みるみる内に大きくなったティーに半ば恐れさえいだきながら、林は話の切り出し所を窺っていた。何十年振りかで何の気兼ねも無しに話をしているティーは、その事が嬉しいらしく、中々喋りを止めようとしなかったからだ。
【あのお金の事、お礼するには絶好のチャンスなんだが……】
しかしティーは武田を呼んで、音圧をコントロールするその原理について質問を始めていた。
「まず、マスクから出ているこの管の中で圧力を下げます。これはエンジンのマフラーみたいなものです」
『ふむふむ』
「そしてここが音波干渉領域です。マイクで拾った音波を位相を逆にして浴びせる事で音量を下げるのです」
『なるほど。やはりそういう原理でしたか。私が海鮮で対峙した敵も、それを持ち出したんです』
「結構初歩的な原理ですからね」
武田は得意そうにその繋がった太い眉毛を蠢(ウゴメ)かす。
『この機械は、もっと小型化出来ないものでしょうか』
武田が作った音圧抑制装置は急ごしらえだった為にかなり大掛かりな物だった。
「ちゃんと設計して作ればこの半分以下には出来ますよ。試しにちょっとCADを引いてきますね」
『すいません、武田さん』
ティーは深々と頭を下げたが、林が自分を見詰めているのに気付いて微笑みを返した。