ロ包 ロ孝 2
  ビュヒィィィン!

 観念した三宅がスロットルを捻ると、野木村運搬用に改造されたダブルロータリー·ツインターボのサンドモービルは、高らかに雄叫びを上げた。


──────


「どうしますぅ? このままここで立ち往生していたらぁ、砂に埋もれて共倒れですよぉ!」

「でもポペジぃ……お金掛かってるのよぉ? これ。ウチ(ブルー·タスク)で一番高い機材じゃないかしら……」

 自慢のエンジンが焼き付き、全く動かなくなってしまったサンドモービルを囲んで、彼らは為す術も無く立ち尽くしていた。

「だからポペジって誰なんですかぁっ! それに知ってますよぉ。金策に走り回ったの、俺なんですからぁっ」

 3台のサンドモービルに分乗して此処迄やって来た彼らだったが、1台がこんな状態では、如何(イカン)ともし難い。

「参ったわねぇ。人数を減らす訳にはいかないし、戻るに戻れないものねぇ」

 マントを着込むと熊程にもなる野木村は、ただ落ち着き無く歩き回っている。

「だ、だから最初からタンデム1台とし、シングル4台の5台にしようって言ったんです! 野木村さんが運転出来さえすればろ、6台でも良かったんだ」

 大沢は、運転が出来ない野木村をなじるようにがなり立てる。

 今言っても仕方がない事で責められた野木村は、かなりカチンと来ていた。

 ひそひそ声で「4速にチェンジぃ」と山路。

「そんなにレッド·ネイルからサンドモービルを借りれる訳無いでしょ? 只でさえミッツィーは小池さんに借りを作るのが嫌なんだからっ!」

「の、野木村さんさえ1人乗りのサンドモービルに乗れたらこ、これを買う金で3台は余計に揃えられるんですよ? ホントつ、使えないんだから!」

 大沢は動かなくなってしまった金喰い虫のサンドモービルを蹴り飛ばしながら野木村を罵った。

「トップぅ、5速だぁ!」

 山路が言うのとほとんど同時に野木村は肩をいからせ凄んでいた。

「使えねぇだと? 誰に抜かしてるんだこらぁ。んじゃあ使えるようにしてやろうじゃねぇかよ!」


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