好きだ好きだ、大好きだ。

「夏希君?」
「んー?」

スーパーを出た夏希君は、迷うことなく、入り組んだ道をどんどん進んでいく。

「ねー、どこ行くの?」

もう何度目かも分らない私のその質問に、やっと振り返った夏希君が言ったんだ……。

「俺んち」

お、俺んち?

「……」

“俺んち”って聞こえたけど、そんなワケがないよね
恋しすぎちゃって、ついでにこの暑さも手伝って、私、本格的に頭がおかしくなったのかもしれない。

首をひねった私は、空耳アワー的な誤認の、正解の言葉を探してみる。

オレンジ?
フレンチ?

んー。
あ、ハレンチ?
……いやいや。違うでしょ。

やっぱり、いくら考えても分らない。

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