好きだ好きだ、大好きだ。
「……え?」
夏希君に帽子をかぶせてもらって、乙女チックな気持ちのまま、テクテク歩いて……
「こ、ここは一体……」
「は? 俺んち」
たどり着いたのは、どう見ても単身者向けのアパート。
古くもないけど、新しくもないそのアパートの階段を、慣れた様子で上がっていく夏希君の後ろを慌てて追いかける。
「ちょっと待ってて」
そう声をかけ、しゃがみ込んだ夏希君はエナメルのカバンの小さなポッケをガサゴソしたあと、小さく“あった”と言って立ち上がった。
そのままドアの鍵穴にそのうちの1つのカギを差し込んで、ドアをガチャリと開き、「どーぞ」と目をパチパチと瞬かせる私を、中に招き入れたんだ。