揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「え?」


イマ、ナンテイッタノ?


思考回路が追いつかない。


「俺じゃ嫌かな?」


ぽかんとしてしまった私にしびれを切らしたのか、高崎君はそう尋ねてきた。


「え?えっと、嫌とかじゃないんだけど……」


何と言っていいのか、よく分からなくて。


確かに、今までも何人かに告られた事はあるけど。

でも、それって少なからずも私の知ってる人だったし。


こんな、知らない人からなんて初めてで。


「友達からでいいんじゃねぇの?」


そう言ったのは、隣にいた諒斗だった。


「ま、そうだな。ちょっと突然だったし。友達になってくれる?吉野さん」


「あ、うん。友達なら……」


それだけ言うのが、精一杯だった。

でも彼は満足したのか、『じゃあね』と言って教室を後にして行った。


「いきなり、悪かったな。俺と由佳が話してるとこよく見かけて、いいなって思ってたんだってさ」


高崎君の後ろ姿を見送りながら、諒斗がそう言った。


「そっか……。まぁ、友達ならいいよ」


そう、友達なら。

恋人には、きっとなれないと思うし。


だって、私の胸は高崎君にはときめかなかったから……。
< 10 / 298 >

この作品をシェア

pagetop