揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「あった、あった。はい、これ」


そのうち、CDを持って克也が由佳さんの所に来た。


「……姉ちゃん?」


そう声をかけられ、差し出されたCDを彼女は黙って受け取った。

最後にチラッと俺を見ると、そのまま何も言わずに部屋から出て行ってしまって。


ドアは、元通りに閉まった。


「話の途中で悪かったな、大翔」


そう謝る克也の声は、俺には届いていなかった。

俺の頭の中は、さっきの由佳さんの姿でいっぱいで。


困った顔をして、じっと俺を見ていたあの顔。


会えて嬉しいはずなのに、何でこんなに苦しいんだよ……?


なんだか、否定…された気がした。

俺なんかと会いたくなかったって顔だった。


俺が電話したから?

それとも、昨日のデートで邪魔だったから?


何で?

何であんな顔すんの?


何で…あいつらみたいに、笑顔見せてくれないんだよ?


「どうしたんだよっ?大翔。何泣いてんだよ?」


言われて、自分の目から涙が零れている事に気が付いた。

いつの間にか、俺は泣いてしまっていたらしい。


「……だっせぇ、俺」


何だかおかしくて、俺は泣きながら笑った。


彼女いるくせに。

友達の姉さんを勝手に好きになって、嫌われて。


ふられて…やんの。
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