揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
『……俺としてはさ、このまま由佳が戻って来てくれればラッキーなんだけど。でも、心残りを抱えたまま来られても嫌だな』


さっきまでの、慰めるような優しい口調とは違っていた。

少しきつい、叱るような感じの声。


「真吾……」


『きちんと彼に振られてから、戻っておいで。そしたら気兼ねなくつき合えるし』


そう…なのかもしれない。

大翔君を好きでいたまま真吾のトコに戻っても、今までと何も変わらない。


ちゃんと、振られなきゃ。


「……いろいろごめんね。やっぱり、ちゃんと本人に言ってみる。また、報告するね」


『分かった。連絡、待ってるから』


そして、私達は電話を切った。


でも、振られるにしても、会うか電話しなきゃ告れないわけで……。


やっぱり、こうするしかないか。

遅かれ早かれ、アイツにはバレる事だし。


意を決して、私は立ち上がった。

部屋を出ると、隣の克也の部屋の前に立つ。


軽く深呼吸して息を整えると、コンコンッとドアをノックした。


「ん?何?」


中から、克也の声がする。

部屋にいるらしい。


「克、今ちょっといい?」


「え、何?いいよ、入って来て」


もう一度深呼吸をして、ゆっくり克也の部屋のドアを開けた。


今まで、アイツと話をするのにドキドキしたことあったっけ?

それぐらい、私は弟に会うのに緊張していた。


「……何?そんな怖い顔して」


ベッドに寝ころんでマンガを読んでたアイツは、私の顔を見て少し驚いている。


そんな怖い顔してるんだ、私……。
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