揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
優子さん。


それは、俺の本当の母さんの名前。

病気がちで、俺が小1の時に死んでしまった。


母さんと由佳さんが似ている事を、彼女はやけに気にしている。


「母さんに似てるからとかじゃないよ。ただ、好きになった人がたまたま母さんに似てただけだから」


そう。

これは、本当に偶然なんだ。


もし由佳さんが、母さんに似ていなかったとしても。

俺は…彼女を好きになっていたと思う。


「小学生が高校生とつき合うのも、変な話じゃない?」


笑いながら、まどかさんはニンジンを切っていく。

まるで、切る事に快感を覚えるかのように。


「別に、年なんて関係ないよ」


そう、思いたかった。

人を好きになるのに、年なんて関係ないと。


じゃないと、5歳の差はあまりにも大きすぎる。


「向こうはどう思ってるんだろうね?高校生が小学生を相手にする?するようなら、よっぽど男に飢えてるか、ショタコンってやつじゃないの?」


バカにしたような、その口調。

いつもの、人前での上品な彼女とはまるで別人で。


でも、俺はあれが偽りの顔だって知ってるから。

だから、こんな彼女を見ても別に驚かない。
< 144 / 298 >

この作品をシェア

pagetop