揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「由佳…さん」


キスの合間に、愛しい人の名を呼ぶ。

彼女に答える余裕はないって分かっているのに、呼びたくて仕方ない。


「由佳……」

もっと…近づきたい。

心も、体も。


「んんっ……」


湿ってきた唇の中に、舌を入れていく。

愛しい人のそれを求めて、口内を貪っていく。


「んっんっ……」


息苦しそうな彼女を気にしつつも、俺はもう自分を止められなかった。


こんなに激しくキスをしたいと思う事は、初めてで。

全く余裕の無い自分が、ここにいる。


肩をつかんでいた手を離し、もう一度彼女を抱きしめた。

右手で彼女の頭を支え、唇を合わせやすくする。


もっと深くキスをしたくて。

捕えた彼女の舌と、もっともっと絡みたくて。


どちらの舌か、分からなくなるぐらいに……。


「んっんっ!」


彼女に背中を叩かれ、俺は我に返った。

慌てて、唇を離す。


「はぁはぁはぁ……」


苦しかったのか、彼女の息遣いはかなり荒くて。

怒るような顔つきで、俺をじっと見ている。


「初めて…なんだからね……」


苦しそうに、そう訴えてくる。


「『初めて』って……?」


「……キス」


怒っているような、拗ねているような。

そんな顔と声。


「えっ?初めて……?」


という事は、今のが由佳さんにとってのファースト・キス?


「そう。した事なかったんだからっ」


「嫌…でした?」


「……嫌じゃないけど。もっと、その…優しくっていうか……」


言いながら顔を赤くしていく彼女は、反則だ。

また、キスしたくなるじゃないか。
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