揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「とりあえず、梨香とは別れるから。そしたら、俺とつき合ってくれませんか?」


両腕をつかまれたまま、真っ直ぐに見つめられる。

今日は、心臓が一つじゃ足りないぐらいに大忙しだ。


「はい……。お、お願いします」


こんな至近距離で言われると、かなり照れるんですけどっっ。

絶対に真っ赤な顔してるよ、私……。


「……ありがとう」


そう言った大翔君の顔も照れてるように見えたけど、一瞬の事だからよく分からない。


だって、また…キスをしてくれてるから。

こんな近くじゃ、顔もろくに見れやしない。


でも、大翔君とのキスは嫌じゃない。


心まで、満たされる。

そんな気持ちにしてくれるんだ。


上手なキスの仕方なんか分からないけど、私なりに彼の求めに応えていきたいと思う。


「由佳……」


吐息混じりに、彼が囁く。


そんな仕草に、胸がキュンってしてしまう。

色っぽい声で囁かれたら、平常心が保てなくなっちゃうよ。


「由佳のこと…抱きたい」


そう、この声に流されてしまいそうに…って、今何て言った!?


「ちょっ、ちょっと待ってっっっ!」


慌てて、彼の体を押しのける。

不思議顔で私を見ている彼に、私はムキになって尋ねた。


「だ、だき…抱きたいとか言わなかった?今っっ!?」


びっくりしちゃったんですけどっ!

抱きたいって……、抱きたいって……。


「……言ったけど?」


「抱きしめたいって事……?」


「いや。セック……」


慌てて、彼の口を右手で塞ぐ。

今、恐ろしい言葉を言おうとしなかった!?
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