揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ブルブルブル……  ブルブルブル……


ふいに、携帯のバイブの音が響いた。

確か私は音楽にしてたから……。


「携帯…鳴ってますよ?」


この状況を抜け出すチャンスと思い、そう大翔君に言ってみた。


だけど……。


「今は、こっちのが大事だから」


そう言ったかと思うと、急に体が浮いたような気がして。

よく見ると、私は彼にお姫様だっこされている状態だった。


「なっ、何っっ!?」


慌てて、すぐそばにある彼の顔を見上げる。


「いくらカーペットでも、由佳が痛いだろうから。初めてがここじゃ嫌だろうしね」


優しく見つめられても、こっちはかなり恥ずかしいんですけどっ。

私なんか抱えたら重たいに決まってるし、なんか聞き捨てならない事を言ったような気がするし……。


ブルブルブル……  ブルブルブル……


ベッドに下ろされた時にも、まだ響くバイブの音。

彼の顔をちらっと見ると、


「気にしなくていいから」


と言って、当然のように彼もベッドの上に乗ってきた。


この展開って、絶対ヤバイよね。

さ、最後までいっちゃうって事?


不安で胸がいっぱいな私とは反対に。

真っ直ぐに私を見ながら、自然と覆いかぶさって来る彼は…れっきとした男だった。


「怖がらないで、大丈夫。絶対に優しくするから」


強張った私の頬に、彼はそっと右手で優しく触れてきた。

その声と手で魔法に掛けられたかのように、私の不安は少しずつ取り除かれていって。


無駄に入っていた体中の力が、だんだんと抜けていくようだった。
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