揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
ブルブルブル……  ブルブルブル……


未だ、鳴り続ける携帯。


彼は鬱陶しそうに、ジーンズのポケットからそれを取り出した。

着信相手を画面で確かめると、出る事なく床に放り投げる。


「い、いいの?出なくて」


その態度に驚き、慌てて訊いてしまった。


「出てもいいけど…由佳の声、梨香に聞こえちゃうよ?」


水沢からの電話だったんだ……。


少し、胸がギュッと締め付けられた。

でも、大翔君は私とつき合うって言ってくれたんだから。


大丈夫。

彼を信じてみよう。


「私は大丈夫だよ。ちゃんと、黙ってるし」


大人しくしてるから。


そういうつもりで、大丈夫って言ったんだ。

だけど私のすぐ上にある彼の顔は、呆れたように私を見下ろしていて。


「そうじゃなくて。電話に出てても、俺は由佳の事を抱くんだけど?」


そう言ったかと思うと、彼は再び私に唇を重ねてきた。


「……はぁ…んっ……」


キスの合間に、私の声が漏れる。

自分でも驚くぐらいの、ヤラシイ声。


私の声を聞くと、大翔君はゆっくりと唇を離していった。


「そんな声を、梨香に聞かせるつもり?由佳って、ヤラシイんだね」


そう言って笑う彼に、私はまた羞恥で顔を赤く染められる。


「で、電話しながらキスするなんておかしいしっ!それに、私は全然ヤラシくないからっっ」


そう訴えてるのに、彼はまた笑ってる。

今日は…笑顔がたくさん見れる日だ。


って、そんな事を喜んでる場合じゃなくてっ!
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