揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「何それ?今更、何言ってんの?」


克也も、大翔君と同じ事を訊いてくる。


そりゃそうだよね。

私だって、『何それ?』って思うよ。


私は、彼が小学生だなんて事どうでもいいんだから。

ただ…他に別れる理由が見つけられなかっただけで。


「とにかく、克也には悪いけど別れたから」


そう言って、私は机の横に立て掛けてあった鞄を手に取った。

この空気を壊したくて、中から英語の宿題のプリントと教科書を取り出す。


「俺の事は、どうだっていいんだよ」


そう言ったかと思うと、いきなり立ち上がって克也は私の元へと歩いて来た。

そして、私の座っている椅子をおもむろに回転させてくる。


「えっ?」


そのせいで……。

私の正面に、怒っている弟の姿が現れた。


「何年、姉ちゃんの弟やってると思ってんの?大翔は騙せても、俺はそんなヘタクソな嘘じゃ騙されないよ?」


「……」


言葉が…出なかった。


何か言わなきゃいけないのに。

嘘なんかついてないって、克也に言わなきゃいけないのに。


私の中からは、涙しか出てこないんだ。
< 243 / 298 >

この作品をシェア

pagetop