揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ねぇ、教えてよ。どうやったら、大翔君の事忘れられるのっ?」


泣きながら、そう訴えかけてくる。


間違いじゃ…なかった。

由佳はまだ、俺の事を好きでいくれる。


俺は、きつく抱いていた腕の力を緩めた。

そのまま体を少し離し、もう一度由佳の顔を見つめる。


さっきよりも、涙は増えていて。

だけど、俺はもう知っているから。


この涙は、俺を想って流してくれたものなんだって事を。


「忘れないでよ」


そう言って、彼女の頬を伝う幾筋もの流れを両方の親指で拭い取った。


「俺の事、忘れたりしないでよ?」


そして今まさに零れ落ちそうな涙の粒を、そっと舌で舐めとってみる。

少ししょっぱい、涙の味。


それは…これが夢なんかじゃないって思わせてくれるには、十分だった。


「忘れ…ないよ」


すぐそばで、俺を真っ直ぐに捕える瞳。

彼女の頬に両手で触れながら、俺はその柔らかさと温かさを感じていた。


「忘れるわけ、ないじゃない」


その言葉が…俺の心に、火を付ける。
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