揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「おっ、ガキんちょ達いねぇじゃんっ」


諒斗の声に、慌てて振り向いた。


その言葉は、本当で。

いつのまにか、大翔君達の姿はなくなっていた。


「彼は、どういう知り合いなの?」


高崎君が、不思議そうに尋ねてきた。


「弟の友達なの。一緒の野球部で。彼女は、野球部のマネージャーみたい」


「そうなんだ」


納得したのか、それ以上は訊いてこなかった。


「トイレ行きたいし、行こうぜ」


諒斗の言葉で、私達も映画館を出ることにした。


「昼飯、そこだろ?先入って席とっといて。トイレ行って来るわ」


映画が始まる前に、ランチは隣のパスタ屋さんに行こうって決めてあったから。

諒斗が反対側のトイレに行ったんで、私と高崎君は2人でお店に向かった。


席はギリギリ空いていて、上手い具合に4人掛けに座ることができた。


「ごめんね、映画退屈だったよね?」


何を話そうかと迷って、とりあえずそう切り出してみた。

私と彼は、向かい合って座っている。


「いや、たまにはいいよ。俺、あんまり映画とか見ないし」


「でも……」


言いかけて、やめてしまった。

『彼女とは来なかったの?』って訊くのもどうかなぁなんて思ってしまって。


「女の子と遊ぶのって、慣れてないからさ」


そう言って笑う高崎君は、なんか可愛かった。

だけど……。


「嘘でしょ?」


こんな王子様キャラの高崎君が、そんなはずないよ。


「いやいや、ホント。だって、自分が好きな子としかつき合いたくないじゃん」


なんか…意外だった。


私と、考え方似てるかも。
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