揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「中学の時に1人つき合っただけだよ。高校入ってからは、見事フリ―だし」


「そうなんだ……」


選び放題って感じなのにね。

あんなに彼のファンはいるのに、高崎君が好きになれた子はいなかったんだ。


「でも…つき合いたいっていう人に、やっと会えたから」


そう言って、高崎君は真っ直ぐに私を見てきた。


そうだった。

私、高崎君に告白されてたんだ……。


「その…何で私なんか……?」


自分で訊くのも恥ずかしいけれど、理由が分からないから。

私と高崎君の接点が、どうにも見当たらなくて。


「諒斗と一緒にいるところを見て、すっごく笑顔に惹かれたんだ。一目惚れだよ」


彼はにっこり笑って、そう言ってくれた。


でも、あなたの方が笑顔は素敵だよ。

私なんて、全然なのに……。


その時だった。


「悪りぃ、お待たせっ」


と、諒斗が店に入って来た。


「お前ら、もう頼んだ?」


席に着くなりメニューを手に取り、眺めながら訊いてくる。


「あんたを待ってたんだってば」


そう言ったら、ふっと顔を上げて『そうなの?』って照れ笑いを浮かべた。

いたずらっ子のように笑うと、諒斗はメニューをみんなが見えるように置き直す。


ほら、アイツの方がよっぽどいい笑顔してるよ。

思わず、嫉妬しちゃうぐらいの笑顔。


私なんて、一目惚れしてもらえるような価値あるのかな?


ホントに、私でいいの……?
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