揺れる想い~年下彼氏は小学生~㊤
「ソイツは、彼女とうまくいってんだろ?」


「じゃ、じゃあ諒斗だったら?もし、私が諒斗の事好きだって言ったら迷惑?」


例え話で訊いたつもりだった。

だけど、諒斗からの返事にはかなりの間が空いて。


「……迷惑だよ」


それだけ、ぼそっと返ってきた。


「そっか……」


私も、そう答えるしかなくて。

このまま大翔君を想う事が彼の迷惑になるのだとしたら、それはちょっと…辛いよ。









それからはろくに会話する事なく、地元の駅で別れた。


こうして家に帰ってからも、ずっとモヤモヤが晴れなくて。

自分がどうすればいいのか、まだ決められないでいる。


部屋に入り、携帯を握ったまま椅子に座って。

メモリーを開き、高崎君の所にカーソルをもっていった。


どうしよう……。


どうしても、踏ん切りがつかない。

このまま、通話ボタンを押してしまうかどうか。


通話ボタンを押す=高崎君にOKの返事をするという事なんだけど。

指を軽く置いたまま、押せずにいる。


大翔君に迷惑かけない為に、諦めなきゃ。

だけど、それに高崎君をつき合わせてしまってもいいんだろうか……?


「姉ちゃん!?」


「うわぁっ!!」


いきなりドアを開けて、克也が声を掛けてきたせいで。


最悪な事に、乗せていた指が…通話ボタンを押してしまっていた。


トゥルルルル……


無情にも、呼出音が電話の中で鳴り響いている。
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