闇夜に笑まひの風花を

「__っ!」

光に覆われて視覚を失う。
途端に襲うのは、頭痛。

彼女は頭を抱え、床に膝を着いた。

いた、い。
痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

頭が、割れ……る。

あまりの痛みに耳鳴りがして。
突き落とされたのは、闇……だ。

闇。
白い、闇。

視界を覆い尽くす、白。
無機質で、べったりとした空間。

なに。
ここはどこ。

足が、浮いている。
どれだけ手を伸ばしても、何も触れない。

頭がおかしくなりそう。

ズキリ、とまた痛んだ。
思わず顔を歪める。

この状況をどうにかしたくて叫ぼうと大きく息を吸い__声が、出ないことに気づいた。

喉が、引き攣れる。
頭が痛い。

目の前に広がるのは、真っ白な空間。
ただただ白い、終わりの見えない闇。

そこ、に。
唐突に浮かぶ、二つの図形。

見たこともない、それ。

否。
知って……いる。

この陣を、知っている。

忘れ得ない。

罪深き、呪。

ズキリ。
痛みを伴ったのは、身体のどこだろう。

知らない。

__知っている。

分からない。

__嘘を、吐くな。

そんなこと、忘れた。

__忘れさせない。

目の前が、真っ赤に__真っ黒に染まる。

「いやあああああぁぁぁぁぁっっ!!!」

忘れていた記憶。

忘れてしまいたかった記憶が、蘇る__。


< 166 / 247 >

この作品をシェア

pagetop