月を狩る者狩られる者
何年も、会っていなかったように感じた。
でも、そこに目を閉じて横たわる朔夜は記憶と寸分違(たが)わぬ姿だった。
近付いて、その頬に触れる。
……朔夜だ……。
求めて求めて、やっと見つけた。
やっと取り戻した。
「さくやぁ……」
私は目に涙を溜めながら名を呼び、キスをした……。
数秒触れて離すと、朔夜の目蓋が開く。
「……望」
久しぶりに聞く朔夜の生の声。
それを聞いて、私は溜まっていた涙を一滴零して微笑んだ。