トマトときゅうり


「・・・お前、今日なんか予定ある?」

「へ?」

「この後、誰かきたり、どっかにいく予定ある?」

 びっくりした。きゅうりが私の予定を聞いている。何がどうなってるのかがパニくった頭では理解できなかったけど、取り合えず返事を搾り出す。

「・・・・予定、ないです。これからいつもみたいに晩ご飯を作って、食べて、寝ます」

 そこまで言うことないか。と思ったけど、言ってしまった後だった。

 きゅうりはちょっと笑って、よく判らないことをさらりと言う。

「俺につきあってくれないか?これから長谷寺さんの娘さんと会うんだけど、一緒に来て欲しいんだ」

「はい?」

 つい、瞬きが多くなった。私は首を傾げる。

 ・・・・えーっと。どうしてだか判らない。結局きゅうりは長谷寺様のお嬢さんから逃げなかったのね、ということだけは判ったけど、どうしてそこに私が同席するんだろう・・・。

 私の頭の上に巨大なクエスチョンマークを見たきゅうりは、とりあえず、と言って私が持っているスーパーの袋を指差した。

「それ、仕舞ってこいよ。待ってるから」

「あ、そうですね」

 と言って部屋の鍵を開けたけど、きゅうりを入れるかどうかで悩んでまた固まる。

 外で待ってるって言ってるけど・・・外は寒いし、一回あげるべき?


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