トマトときゅうり


 そりゃあおかしいだろー!!盛大に心の中では突っ込んだ。だけどそれが口から出てこないのだ。あああ~・・・お願いだから、見逃してくださいいいい~!

「だから、今言ってしまえよ」

「!!!」

「・・・ほら」

 どうぞ、と言ってきゅうりは薄く笑った。

 声や調子は砂糖菓子みたいな甘さを含んではいるけど。平常だったら、うっとりして聞くような声だったけど。

 実際の私はドン引きしていた。


 ・・・・超怖いんですけど・・・・この笑顔。

 まさしく蛇に睨まれたカエル状態の私。


 これからはカエル族の皆様にも気持ち悪がらずに優しく接すると誓います!おたまじゃくしからカエルに変化するのにも「何でやねん!」とかいらない突っ込みは金輪際しません!

 だからだから、神様カエル様、私を守って―――――――


 唾を飲み込んで、出来るだけきゅうりの視線から遠ざかりながら答えた。

「・・・あ、あ、青山さんに告白されました」

「―――――――いつ」

「ええと・・・先先週です・・・」

「聞こえない」

「先先週です!」


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