トマトときゅうり


 クリスマスは終わった。

 23年間一人でいたけど、今年は違った。男の人を好きになり、結果的にその人は私の彼氏となった。


 朝日が瞼をゆっくりと撫で、私はまあるい気持ちで目を覚ました。

 暖かくてゴツゴツした何かに頬を摺り寄せる。何だろう、これ、とってもいい気持ち―――――――――

「・・・・くすぐったい」

 ・・・・・うん?

 低く掠れた声が聞こえて、顔を上げた。

 片手を黒髪に突っ込んで、まだ眠そうな薄目できゅうりがこっちを見ていた。

「おはよ」

 バチっと、一瞬で目が覚めた。

 ・・・・うわあお・・・色っぽーい・・・。

 寝乱れた髪の毛が切れ長の瞳に掛かる。その間から、柔らかい視線を送るきゅうりに見惚れた。

 それと同時に、昨日のことが鮮やかに蘇った。きゅうりの腕枕で眠ってしまったらしい――――――――――裸で。

「うっきゃあああああ~!!」

 声を上げてから起き上がり、服を着るまでが我ながら早かった。

「・・・うるせー」

「だだだだだって!だってだって、裸じゃないですかああああ~!!」


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