あやまち
「バチ?」


「うん、……渉から、聞いたんでしょ?」



渉から?


何の話?


訳がわからなくて、首をかしげていると、麻希は苦笑しながら、あたしが気になっていたあの“嘘”について、ボソボソと話し始めた。



「前にさ、悠亜に好きな男のタイプを聞いたことがあったじゃない?」



好きな男のタイプ?


聞かれたっけ?


頭の中の記憶のテープをフルに巻き戻してみるけれど、全く思い出せなくて……


そんなあたしを見ながら、麻希はさらに言葉を繋ぐ。



「悠亜は、『好きになった人が好きなタイプ』って言ったんだよ」


「あ」



言ったかも。



「あと、絶対に好きにはならない人がいるって、そう言ったのは覚えてる?」



絶対に好きにはならない人……


あ……


思い出した。

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