あやまち
別離
翌日の夕方、翔太が迎えに来てくれた。


アパートへ向かう車内では、翔太もあたしもずっと黙ったままだった。



ようやくアパートに着いて、中に入ると……


玄関で立ち止まった翔太は、あたしの方を振り返って、チュッと触れるだけのキスを落とす……


……これは、普段からやっていたこと。


そして、



「シャワー浴びてくる」



そう言って、翔太はバスルームへ向かった。


その背中をぼんやりと見ていると……



「あ」



耳を澄ましていないと聞き取れないほどの小さな言葉が耳に届き、翔太が振り返った。



「悠亜も、一緒に入ろう」


「えっ！」



いつもと同じ行動の翔太が、今までに一度も口にしたことのない言葉を発した。


もしかしたら、昨日から麻希のところへ行っていたことを怒っているのかもしれない。


それ以前に、麻希がこのアパートへ来たとき、あたしが翔太の言葉を遮って反抗してしまったことに対して、怒っているのかもしれない。


そんなことが脳裏を掠め、何かされるのかもしれないと、ひどく動揺してしまった。

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