あやまち
でもここで断ることの方が怖くて、結局翔太に連れられるがままに、一緒にシャワーを浴びることになってしまった。


脱衣場に入って、次々と脱ぎ始めた翔太の横で、あたしはその姿をただジッと眺めていた。


そしたら……



「脱がねぇの?……それとも、脱がしてほしいの?」


「えっ!?ち、違うっ!」



思いきり勘違いされて、慌てて否定しながら翔太を見上げたら……



「……っ!」



久しぶりに、……胸の高鳴りを感じた。


だってそこには、あたしが好きになった翔太がいたから。



あの旅行から帰ってからの三週間、翔太からやさしい笑みや暖かい表情がすべて消えてしまっていた。


それが今、目の前にある。


胸が熱くなるのを感じて、目尻から、涙がほろりとこぼれた。

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