あやまち
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「じゃあ帰るね」



今日の講義を終え、サークルへ行くという麻希にそう告げて背中を向けた。



サークルへは行かずにカラオケにでも行こうというあたしの誘いを断った麻希。


それと同時に『一緒にサークル行こうよ』と言われた。


でも、あたしはサークルへ行く気はなかった。


というより、麻希からの電話がなかったら大学にさえ来ていなかったかもしれないんだから。



そのままバスに乗ってアパートへ帰った。


毎日遅くまで部活をやっている翔太が帰っているわけもなくて。


とりあえず汗を流そうとシャワーを浴びた。


バスルームから出たら、冷蔵庫を開けてお目当てのものを掴む。


プシュッと音をたてながらプルタブを引いた。


そのまま口に付けてゴクゴクと喉へ流し込む。



「ぷはぁー、ウマイっ」



“風呂上がりの一杯が一番だ”なんて思っていたら



「親父くさっ」



後ろから声が飛んできた。

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