あやまち
相愛
.



「今日、遅くなる」



ソファーに置いてあったスポーツバッグを掴みながらそう言った翔太は、そのまま玄関へと歩いていく。



「飲み会だっけ?」



昨日翔太がちらっと口にした言葉。



「ん、だから、ちゃんと戸締まりしてから寝ろよ?」


「うん」



その大きな背中を見送ってから、あたしも準備をして大学へ向かった。


今日は週に一度の朝イチから立て続けに四つの講義が入っている日。


しかも経済学とか経営学総論とか、頭を使わずにひたすら話を聞くものばかり。


眠くなりそうだなぁ……



キャンパスに入ると、少し早く来すぎたのか、まだ人がポツリポツリとしかいなくて閑散としている。


そんな中でも、テニスコートの方から、パコーン、パコーンというボールを打つ音が響いてきた。
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