あやまち
“悠亜、おまえが俺に抱いてる感情が何か、ちゃんと気付いてる?”


「感情?」


“ん”



感情って……?


好きとか嫌いとか、そういうこと?


翔太が何を言いたいのかわからず、それに答えることができない。


そしたら、翔太は小さく息を吐いてから、口を開いた。



“悠亜が俺に抱いてる感情ってさ、……友情でも愛情でもねーんだよ。ただの、同情”



同情……


そう言われて、あたしの中の気持ちを否定されたような気がした。



「違う!」


“違わねーの。最初から、同情だったんだよ”



最初から?


じゃあ、翔太とあたしが付き合っていた四ヶ月ってなんだったの?



「違うよ。あたしは、翔太のことが凄く好きだった。ちゃんと、愛情だった」


“ん、でもそれは途中からだろ?最初は……付き合う気はなかっただろ?”


「……」



確かに、酔った勢いで翔太と寝てしまったあと我に返ったとき、あたしの中では付き合うという選択はなくて、ただ『どうしよう』としか思えなかった。

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