あやまち
“それに……、渉にコクられたとき、ほんとは気持ちが揺れたんだろ?”



渉にコクられたとき……?


それって、渉に抱かれたとき?


あのときは……


無理矢理ヤられたことが凄く辛くて、ただただ悲しかった。


翔太にバレたらどうしようって……


翔太があたしから離れていったらどうしようって……


その思いが強すぎて……


想いを告げられたことなんて、二の次だった。



「揺れてない。あたしには、翔太だけだった」


“じゃあさ……俺と麻希が、嘘を吐いてたって知ったときは?”


「えっ」


“渉が女と遊び歩いてたわけじゃなかったって知って、おまえ、揺れてたじゃん”



翔太はそう言うけれど……


あたし、揺れてたっけ?


翔太と麻希が嘘をついていたんだと知ったのは、あのコテージで渉と二人きりで話をしていたとき。

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