あやまち
「俺さ、ずっと悠亜に避けられてるんだと思ってた」


「えっ」


「あの旅行のあと、逃げるようにアパート引き払って。おまけに、携帯も繋がらなくなった」



それは、翔太からの束縛が始まったからで、渉を避けていた訳じゃない。


でも、渉からすれば、全くの音信不通になってしまったら、避けられてるって思うのも当然のことかもしれない。



「それでも俺は、ずっと悠亜のことが好きだったよ。だってさ悠亜を想い続けて、二年半だぞ?そんなに簡単に忘れられるわけがねぇよ」



そう言った渉の瞳は、あたしのそれを真っ直ぐに捉えていて……


あたしの心臓は大きく音をたてる。


と同時に、すべてを見透かされそうで、つい視線をそらしてしまった。


そんなあたしに、渉はさらに続けて言葉を繋ぐ。



「悠亜を探し出してまで会おうとしなかったのは、もう俺には可能性がないって思ったから」

< 183 / 220 >

この作品をシェア

pagetop