あやまち
“じゃあな”



翔太はそう言って、あたしの返事を待たずに電話切ってしまった。



「ちょっ、翔太!」



そう叫んでも、切られてしまえばもう届くわけがなくて。


翔太は渉のことを『誕生日プレゼント』と言った。


それに、このアパートの場所を知ってるはずもない渉がここにいる。


てことは、きっと翔太が教えたんだ。


渉は翔太になんと言われて、ここへ来たんだろう。


ゆっくりと視線を移して、渉を見上げた。



「翔太から?」


「えっ」


「今の電話だよ」



そう言って、あたしの携帯を指差す。


だから、上げていた視線を落としながら、コクンと頷いた。



「さっき、何でここに来たか聞いただろ?」


「うん」


「翔太から、連絡が来たんだ」


「えっ」



下げたばかりの視線を、顔ごと勢いよく上げた。

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