あやまち
この展開の早さに、あたしの思考は全くついていかなくて……



てか、何で突然こんなことを言い出したのかも、全然わからなくて……




「ねぇ、翔太……何かあったの?」




こっちに向けられている、少しつり上がり気味の切れ長の瞳を見つめながら聞いてみる。




「いや……ただ、傍にいたいだけ」


「えっ」




ただ傍に……って、あたしにとっては、全然“ただ”という理由じゃない。



普通に嬉しい言葉。



なのに、翔太は何で浮かない顔をしているんだろう。



ほんとは、他にも理由があったりするのかな。



もしあるのなら、ちゃんと言ってほしいのに……





でも、翔太は結局何も言わないまま、翌朝、遠征へ行ってしまった。


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