あやまち
「ねぇ渉」


「ん?」



サイズが違うというオチ付きの指輪だったけれど、こうやってプレゼントしてくれたことは、物凄く嬉しかった。


でも……



「あたしは、渉が傍にいてくれるだけでいい。他には何も要らないから」



昨日までは、曖昧な気持ちを抱えていて、まさか渉とこうなるなんて思ってもみなかった。


でも、今はもう渉がいない生活は考えられない。



「そういうこと、言うなって」


「そういうこと?」


「煽んなって言ってんの」


「は?煽ってないしっ!」


「あ、もしかして……」


「な、何っ!?」



口の端に笑みを浮かべている渉に嫌な予感がする。


渉はゆっくりと距離を詰めてきて……



「こうしたかった?」



そう言って、ひょいっとあたしを抱えてあっという間にベッドに寝かされてしまった。



「ちょっ、渉!?」
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