あやまち
.



「あーーーっ!」


「な、なんだよっ!」



渉の腕の中で幸せに浸っていたのはよかったんだけど……



「あたし、火をかけっぱなしだったんだ!」



朝食を作っていたときにドタバタという音が聞こえてきて……


とりあえず様子を見に行かなきゃって、渉のところへ駆けつけた。


中途半端に火は止めたくなかったし、何よりすぐに戻るつもりだったから、そのままその場を離れたんだった。



慌ててキッチンへ戻ると



「ああ……、最悪」



弱火で蒸していた目玉焼きは真っ黒焦げになっているし……


味噌汁は沸騰して吹き零れていた。


まあそのお陰で火は止まっていたんだけど。



「渉が朝からあんなことをするから」



頬を膨らませてそう言うと



「人のせいにすんなよ。悠亜だって『もっと~』なんて言ってたじゃん」


「なっ!」
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