あやまち
「さいっ……てー」




布団から顔だけを出し、その背中に向かって、怒りをぶつけた。



でもこっちに視線を向けた渉は、勝ち誇ったように、口角を緩やかに上げながら……




「おまえだって、身体をゆるしてただろ?」


「そ、それはっ……翔太だと、思ったからっ」


「まぁ、それを狙ったんだけどな」




そう言った渉は、拳を開いて握っていたものをあたしに見せた。




「“セクシーボーイ”だろ?」


「……」




見せられたものは……、翔太愛用の、香水。




「これさえあれば、おまえを抱けるって……思った」




いまだ、余裕の笑みを向けてくる渉に、あたしの胸の中からふつふつと怒りが込み上げてくる。




「だいたいっ、どこから入ったのよっ」




そうなんだ、まずどうやってこの部屋に入ってきたかが、問題なんだ。
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