あやまち
突然抱きついたあたしに、翔太は何も聞かずに、髪をゆっくりとすくように撫で、時々頭頂部にキスを落とす。



そのやさしい仕草に、また目頭が熱くなってくる。




「なんか、嬉しい」




頭上から、喜びを込めたような声が降りてきたけれど……




「何が?」


「ん?……悠亜から、俺の香りがする」


「……!」




あまりに突然すぎる言葉に、身体がピクッと反応し、そのまま固まってしまったように、動けなくなってしまった。




あたしから、翔太の香り……



それは、間違いなく……渉の香り。




「悠亜に、俺が染み付いてるみたいで、すっげー嬉しい」


「……」




翔太の声色から、心底嬉しいという想いが強く伝わってきて……



胸が、はち切れそうなくらいに、痛くなってきた。
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