あやまち
翔太の胸に顔を埋めながら、左手で痛みを感じる左胸辺りの服を、ぎゅっとつかむ。



翔太はそんなあたしの行動には、全く気付かないまま、思い出したように口を開く。




「そういや、泊まりの計画を立ててるんだって?」


「泊まり?」




話題が変わったことにほっとしながらも、何のことを言われてるのかわからず、首をかしげる。




「麻希から連絡が来たんだよ」


「麻希から……」




“泊まり”“麻希”とくれば……



もう、あの話しかない。




「渉を説得してくれって頼まれたんだよな」


「……」




『四人でどこか泊まりにいこうよ』




あの時は、それが楽しみで、『行く』と言った。



でも、今は――



行きたくない。




「あたし……、翔太と、二人で行きたい」


「は?悠亜もその気になってるって聞いたけど?」


「……」




あの時はその気になってたけれど、今はもう、渉の顔を見たくない。
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