あやまち
まさか、そんなことを言われていたなんて知らなかったから……




「ごめんね」




麻希は、ほんとならあたしには、相談したかったのかもしれない。



でもあたしが言えなくなるような空気を、作ってしまった。




「悠亜が謝ることない。あたし、渉のことを、振り向かせる自信があったから」




そう言った麻希は、言葉とは裏腹に、弱々しく見える。




って……


今、麻希が言った言葉……




『自信があったから』




過去形?




「今は?」




あたしがそう言ったとたん、麻希は顔を歪ませて……



頬に涙が伝い始めた。




「麻希?」


「もう……、無理かも。全然、触れてくれないんだもん」


「……」




麻希に、触れない……?
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