あやまち
「悠亜?」


「何も、ないよ」




何か言わなきゃ、と出てきた言葉が、これだった。



「元気ないね」に対しての応えにはならない。



明らかに、何かあったと言っているも同然だった。




そんな麻希とあたしのやり取りを聞いていた翔太が、ゆっくりと振り向いた。




「悠亜は、寝不足だもんな」


「えっ」




寝不足……?



あたし、寝不足だっけ?



そんな翔太の言葉に、すぐに食いついたのは、麻希。




「あー、そういうことね。相変わらず、ラブラブなんだからっ」


「ラブラブって?」




訳がわからず、麻希に問いかける。




「もう、なにとぼけてるのよ。ほんと、仲がいいよね、悠亜と翔太は。ね、渉?」




ドキンッ――…




渉とは一切関わりたくないと思っていたけれど、その名が出てくるだけで、あたしの心臓は、悲鳴のように、音をあげる。
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