あやまち
「もしそうなってたら、……悠亜は、俺と付き合ってただろ?」


「……」




もし、渉と酔った勢いで……




「それは、ないよ」


「は?」


「渉だったら、……付き合ってない」




あの頃の渉は、いろんな女の子と遊んでいたんだよ?



その中の一人でいい……なんて、あたしにはそんなこと、思えない。



翔太だったから、あたしは付き合ったんだ。




「悠亜は、……俺に惚れてるって、そう思ってた」


「……っ!」




突然渉の口から出た言葉……



あたしが渉を……?



渉は、その発言に余程自信があったのかもしれない。



あたしが発した……



『渉だったら、……付き合ってない』



この一言でそれを崩されたとたん、さっきまでの勢いがなくなって、語尾が弱々しい声に変わっていく。



それと同時に、抱き締められていた腕の力も緩められて……



直ぐ様、あたしは渉と距離をとった。
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